棟梁、屋根を語る!





ある日、大工さんがやってきて
「この家、そのうち屋根が飛ぶよ」
と言いました。
新手のセールスか?とか思いましたが、話を聞くと確かに納得できるものでした。
ウチの屋根、そーとーヤバいみたいです・・・

現状の確認

まずは今の状態を確認。
「あそこ、棟んとこ、釘が浮いてんのわかる?」
と大工の棟梁は言いますが・・・遠くてよくわからない・・・

とりあえず写真を撮ってきてもらいます。
梯子を立てて軽やかに登っていく大工さん其の一。
ううむ、さすが大工。

しばらくウロウロして戻ってきました。
撮ったポラロイドを見ると・・・



おお、確かに剥がれてる!
矢印の方向から風を受けて浮いてしまったらしい。
他にも何枚か撮ってきているようなので、それも見せてもらいます。




コッチは釘が出ちゃってますね
ってゆーか、屋根に釘って・・・

棟梁の熱い語り



4年程前に屋根にペンキを塗ったんだけど・・・

「屋根にペンキなんて塗っちゃだめなのよ」
なんで?
「ペンキってーのは寒くなりゃ縮むし暑けりゃのびる。それでひび割れて剥がれっちまうんだな」
そう言いながら写真にペンでマルをする。
うん、確かに剥がれてる。
さらに右下のマルを指しながら
「あと、ココ、黒いの、コレ雨染みになってるでしょ?ペンキ塗ると中に雨が溜まっちまうんだよ」
・・・なんで?
「理屈はよくわかんねぇんだけど、台風なんかの風が強い時に、こう、吸い込まれちまうらしいんだ。今の家は機密性いいから。だけどペンキがあると外に出られなくて溜まっちまうんだ」
ふ〜ん・・・風が吹くと風下側の屋根に負圧が発生して、家の中の空気が吸われるって事かな?
理屈はわかんねぇんだけど、ってトコが大工っぽくて好感がもてます(笑)


とココで大工さん其の一がなにか持ってきます。



釘ですね。
「おお、これ屋根についてたヤツだけどな、半分しか刺さってないだろ」
確かに。
「頭の方にペンキが付いてるから、そのペンキ塗ったときから剥がれてたってことだな」
・・・そーなるなぁ・・・
と棟梁、ゴソゴソと釘を取りだして
「屋根屋が使う釘は、こーゆーステンレスの抜け止めの溝があるヤツを使うんだけど、これは普通の鉄釘だな。ちょっと手抜きだな、こりゃ・・・」
手抜きっていまさら言われてもねぇ。
「費用を安くしようとすると、見えないところから抜くからねぇ。でもね、屋根はケチっちゃだめよ。安い屋根だと早いうちから雨が入って、家自体がだめになっちゃうから。水さえ入んなきゃ、家なんて30年は持つからね」
う〜ん、なんか納得。

「でもなぁ、ペンキもね、普通こんなに早く剥がれないんだけどな。下地処理が甘かったのかもしれないな」
う・・・ウチの親、思いきり値切ってたからな・・・
「ペンキを塗って一時的に防水性があがっても、そのうち水が溜まっちゃうから塗っても塗んなくっても屋根の寿命はかわんない、ってのが最近の大手メーカーさんの意見だな。もっとも、ペンキ屋は商売だからなんでもかんでも塗っちまうけどな(笑)。ちゃんとした屋根屋はペンキは塗らないよ」

・・・屋根屋も商売だから屋根葺きを奨めるんだろうけどね(^^;

ナゼか登ることに・・・

とりあえず出ている釘と剥がれかけている棟を打ち付けて、応急処置をしてもらいます。
金槌で打つたびに、キュっと屋根が締まっていく。
・・・かなり浮いてたんだな・・・・

作業が一段落した頃、棟梁が言います。
「おう、あんた登って見てみないか?」
え、私が?
「いやならいいけど、見ておいた方がいいかと思ってな」
ああ、見ます見ます、見せてください!

とゆーわけで10m梯子登りにチャレンジ!

大工さん其の一に上で支えてもらい、大工さん其のニに下を支えてもらいます。
「屋根には登んなくていいよ。頭だけだして見ればいいから」
らじゃー!
まぁ登りは楽だろう・・・と思ったけど、半分過ぎてから急に怖くなってくる。
い、いかん!ビビったら逆にヤバイ!
ガツーンといったれ!
えいほ、えいほ・・・
リズム良く登って、上に到着。
大工さん其の一に説明を受けます。
「ほら、ココんとこ、横に割れちゃってるでしょ。いつか落ちるよ、これ」
ああ、ホントだ。
「ペンキもかなり剥げちゃってるしね。ほれ」
近くで見ると激しいもんだね・・・・

あらかた説明を受け、いざ下山。
・・・やっぱり登るより下る方がコワいー!
「ゆっくり、確実にいけよ〜」
下から棟梁のエールが飛びます。
ら、らじゃー!
ゆっくり・・・確実に・・・えい、ほ・・・えい、ほ・・・

・・・なんとか無事に到着!
ふぅ〜。

そして商品説明

「今はイイのが出来てきてね」
・・・やっぱりセールストークがあるのね・・・
「日新製鋼のなんだけど、コレは20年保証が付いてるんだよ。しかもアルミが入ってて軽いよ。坪18キロくらいだ」
・・・それって軽いの?
アルミが入ってて、って合金って言いたいのかな?
「純アルミになると坪6キロだけど、ありゃ高いからねぇ」
お、それくらいになると軽いね!
アルミボンネットも軽いけど高いよね。
「え〜っと、商品見本がここに・・・あったあった」
と言って板切れを取り出して見せてくれた。
・・・へぇ〜薄いなぁ。

「これの構造はこんなんなってるんだな」



・・・屋根もフッ素コーティングの時代か・・・・
「ただねぇ、これ葺いちゃうと俺達でも登れなくなっちゃうんだよな。フッ素が塗ってあるから、まぁ良く滑るんだ」
そりゃそうだろうね。
「だから雪止めは必須なんですよ。必須っつーかセットになってますわ。ないと危ないし、あとから付けられないから」
ふ〜ん・・・


その後、商品パンフを使っての説明が続き、とりあえず見積もりだけしてもらう事になりました。

・・・どーなるウチの屋根!

続く!